「ブレスコントロールノワール 」
製作者:NBK2様
性的、暴力描写有り。(R15)1時間でクリア。
公開当初から「あ、神ゲーだな」と確信してたが白黒の画面で二の足を踏んでいる内に
モノクロ版とカラー版の二種類を選択できるアップデートがされ、カラー版でプレイ。製作者の意向を汲むならたぶんモノクロ版を選ぶのが正しいだろうけど、視覚的にプレイしやすいカラーを一週目、二週目でモノクロ版をおすすめします。
序盤から小説風のテキスト、ノワール映画で流れるような1950年代風のBGMが心地よく一気に世界観に惹きこまれる。アパートが電車のように揺れる奇妙さにさっそく快感を覚えた。
カーステレオを聴きながらドライブを始めた所でゲームタイトルロゴ。このオープニング演出でテンション爆上げ。
浮浪者みたいな男を撥ねてしまう所から、デヴィッド・リンチ的悪夢の始まりを予感させる。雑多で寂れた港町の作りこまれたマップは圧巻。
この「ノワールな世界観の迫り具合]は異常で、
街の住人と会話するだけでも洒落た台詞回しで語られる娼婦殺し、マフィアの抗争、超常現象、死体愛好、八百長、カニバリズム等の街の暗黒面に触れてゲッソリ状態の上で
怪しいサーカスで美女が処刑される回想から現実世界で精神病院の患者が「サーカスの夢を見た」という理由で暴徒と化すラジオニュースが入る展開で、頭がグルグルしてきて休憩が必要になるくらい迫ってくる。
「女王陛下」「新月の夜の儀式」などのキーワードが散りばめられた後半から展開は不条理さを増していき、文章のみでとはいえ生理的な嫌悪感を煽る描写がたて続けにある。死体愛好家の男が××××を舐めてたり回虫を女性の××に××したり×を食べたり、
オイオイ何やってんだ!?と叫びましたよ。
ダーティでありながら耽美なイカレ具合にまったく退屈しなかった。終始陰鬱なゲームかと思っていたらほっとするような綺麗な場所もある。映画の撮影をしてたり、バーのボックスジュースで音楽を色々聴いてみたり、停電しかけてるホテルの廊下で聞き耳を立てたりする細やかなシチュエーションがたまらない。
サーカス、駅、墓場、植物園など素材をちぐはぐにさせずに組み合わせたマップデザインの素晴らしさは飛びぬけて美しかった。
音楽、効果音、ビジュアル、テキスト、全て世界観に没入させる作りが徹底されている。傑作だと思います。作風さえ好きならば、映画観ながら小説を読みつつゲームを同時にやれるお得体験ができますよ。マジで。
不条理系と言っても支離滅裂な狂気ではなく、脱線しながら現実と妄想の狭間で迷うような匙加減が期待以上だった。建物を行き来しているうちに街の住人の台詞と噛み合わない部分があったり、特に駅に辿り着いた時の現実から踏み出して終着点に向かっているような感覚はめったに味わえない感動でした。
製作者がプレイヤーより遥かに知識が深いジャンルの「好き」を徹底的に詰め込んだのが伝わってくる系統のフリゲ。(過去にプレイした作品だとロックを題材にした「PUB」が浮かんだ)。注釈システムがあって、プレイヤーを置いてけぼりにはしない配慮がなされている。(その注釈もマニアックな内容な気がしたけどw)
終わらない悪夢の結末はぜひ自分の目で見て欲しい。猛毒を一気に飲み干した様な気分になれます。
3日くらいまたいで朝にプレイしてたので深夜に一気にプレイして存分に酔いしれたかった…
↑ブラウザ版
反転でネタバレ
サーカスの出来事で主人公の性癖は決まったのだろう。女王陛下は首を吊ったサーカスの女性。主人公は死んでしまったので性的原体験である彼女とあの世で再び対面する事になる。惨めだけど最後に自分が誰か思い出せたなら僅かに救いがある気がする。思い出さない方がマシかもしれないけど。
本編は妄想混じりとはいえ主人公は組織にとって都合の悪い事を知っていたらしいから事実も含まれている?
いやータイトルのブレスコントロールって何だろう?と思っていたからそれか…!と
脱力。もぐらゲームスの記事でも警告されてるけどデビッド・キャラダインで検索すると遺体写真がヒットするので検索注意。
昆虫標本とか砂時計の精神病院とかもっともっと深く知りたかったけど一時間でこの重さと濃さならこのくらいがいいんだろうなあ。
まったく無関係だけど、スティル・ナハトって単語どこかで聞いたと思ったらクエイ・
ブラザーズのアニメだった。