「FUNNYFUNNYBADTRIP」「グレイブヤードムーン」
製作者:NBK2様
NBK2氏による2作品のレビューになります。
「FUNNYFUNNYBADTRIP」
「今や虚構が現実を凌ぐ…」
性的、暴力描写有り。(R15)1時間でクリア。
強烈に迫るバッドトリップを楽しむゲーム。
ブレスコントロールノワールを先にプレイしたのでどうしても比較してしまうけど
フリゲ処女作特有の尖りすぎている部分(耳に悪いノイズとか)を感じるゲーム。(設定でSEのボリュームは落とせる)しかし粗削りという訳でなく、既に表現したい物をがっつり確立している。
狂気的なゲームではあるが難解ではなくプレイヤーに理解できるように明かしている。
タイプライターのイカレ具合、シュルレアリスムへの美学、映画的なマップデザインが素晴らしい。
精神病院で明らかに様子がおかしい患者達の部屋が、話を進めると何の変哲もない病院になっていて、それが現実か主人公の妄想かわからずプレイヤーに自分を疑わせる場面がいい。そしてバイオレンスで耽美であり下品でもある。
しょっぱなから表示されるテキストが(タイプライターを調べると読める詩)「肛門で饒舌に話すゴキブリは性差別的な同性愛者」
それとマジックミラー越しに女性の居る部屋、自分側には電話とティッシュだけの個室の場面とか。RPGツクールのドットでアダルトな表現をされるとドキドキするね。
ラクダ男、池のある屋敷とか繋がりがありそうだしブレス～の前にプレイしておけばよかったなーと思った。エンドロールの虚脱感がいい。狂っててかつ哲学的なゲームがやりてえ！と思ったらおすすめです。
「グレイブヤードムーン」
「カラフルシンセウェイヴワンナイトお金稼ぎADV」
ホテル代の149$を貯めるために小銭を稼ぐゲーム。
直接的な暴力描写無し。前二作より健全な作品。普通の現代都市の一角を舞台に、お使いをしながら流れる80"sシンセ音楽を楽しめる。
しかしやはり世界観はダーティ。ドラッグを販売しているドラッグストア、中毒者、狂犬を野放しにしているサブカル動物衛生局長、アーティスト、胡散臭い私立探偵が登場。
街の住人にアイテムを渡す・金を払うという形で進めていくが順番は自由なのが今作の魅了。
ホットドッグの転売・ガラクタ漁りという救済措置があるので詰むことは無い。(店主の前で勝手にバールでゲーム機開けていいのかよ！)
ブレスコントロールノワールをプレイ済みだと分かるネタが仕込まれてて歓喜。
40分程度でクリアできる短編で、ストーリー部分はプロローグとエンディングくらいなので、触れるとネタバレになるので80年代のアートカルチャーを背景にしているとだけ書いておく。
海外音楽サイトから厳選したであろう音楽のレベルが今回も高い。クリア後も聴くためにゲーム起動させるぐらい。タイトル画面、道路移動中の音楽は神。
これでNBK2氏の公開中の作品は三作全てプレイしたが、これまでプレイしてきたフリゲでは触れられなかった異文化に触れる事ができる稀な作品群だと思う。つくづく製作者の知識の引き出しの多さ、インスパイアされた文学、芸術作品群への愛に多さに驚かされた。
この方の作品は謎めいたストーリーと哲学的な台詞回しにクリアした後頭が痛くなってくる感覚がある。そして強い中毒性がある。いやあフリゲっていいもんですね。
